子どもの矯正治療
歯の矯正治療は「1期治療」と「2期治療」に分けられます。このうち1期治療とはこどもの矯正(小児矯正)のことを差します。
1期治療
対象 | こども |
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治療時期 | 乳歯列期、混合歯列期(歯が生え変わる、乳歯と永久歯が混在する時期) |
主な治療装置 | 固定式、取り外し式 |
治療内容 | 歯並びやかみ合わせに悪影響を与える癖の除去、顎の成長促進や抑制、歯列弓の拡大 |
2期治療
対象 | 大人 |
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治療時期 | 永久歯列期(全ての歯が永久歯の状態) |
主な治療装置 | ブラケット、マウスピース |
治療内容 | 歯を移動させる |
子どもの矯正治療のメリット
メリット①「2期治療に比べ痛みが少ない」
2期治療では取り外出来ない装置(取り外し可能な装置も一部あり)を使って治療を行うため、慣れるまでは痛みや違和感を感じることがあります。
それに対して、成長期のお子さんに適応される1期治療では取り外し式の装置(固定式の取り外しできない装置も一部あり)を使うので、痛みや違和感が軽度で済むのです。
メリット②「抜歯を回避出来る可能性が高くなる」
永久歯は乳歯の位置に誘導されて生えてきます。しかしこの時、永久歯が生えてくるためのスペースが十分に確保されていないと正しい位置に生えることが出来ず、歯が重なりあってしまうのです。
こどもの矯正治療では、永久歯が正しい位置に生えるようにスペースを確保してあげることが出来ます。これにより抜歯をせずに歯並びを整えることが出来る場合もあるのです。
メリット③「手術を回避出来る可能性が高くなる」
大人の反対咬合(受け口)の場合、下の顎を分割して突き出てしまっている顎を引っ込める手術が必要となることもあります。
しかし、9〜10歳頃に矯正治療を開始すれば大人になってからこのような手術を行わなくても済むようになるのです。
下顎骨が急速に成長する時期が来る前に反対咬合を改善しておけば、安定した被蓋関係により下顎骨が過成長するのを抑制し、上顎骨の成長を促進することが可能です。
このことは、正常な被蓋関係のこどもが成長期に下顎骨が前下方に成長することで顔が面長に変わっていくにも関わらず、反対咬合になることはないということからも推察することが出来ます。
子どもの矯正装置
床矯正
床矯正は6〜11歳のお子さんが対象です
お子さんの歯並び改善を目的とした「床矯正」は混合歯列期である6〜11歳くらいに始めるのが望ましいです。
2期治療と言われる一般的な矯正治療では歯を動かすことで歯並びを整えていきますが、床矯正では床矯正装置を使い、お子さんの成長に合わせて歯列の幅を少しずつ拡大していきます。
このようにして、まだ歯を支える骨が成長しているうちに歯並びを正しい方向に導いてあげることで、自然な歯並びにしてあげることが出来るのです。
混合歯列期に床矯正をすれば抜歯をせずに済む可能性が高まる
早い段階で床矯正を行うことで、将来的に抜歯など大掛かりな治療を回避出来る可能性が高まります。
顎に歯を綺麗に並べるためのスペースが十分に取れない場合、上顎と下顎の位置関係がよくないなど、抜歯をしなければいけない原因は様々です。代表的な例としては乱杭歯で、歯の大きさや顎の骨が原因となり歯がデコボコに生えてきてしまいます。
しかし、予めこどものうちから床矯正を行うことで、歯を並べるスペースを確保することが出来、抜歯をしなくても治せる可能性が高まるのです。
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)
受け口の治療のためのマウスピースのことです。歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)は3歳から使うことが可能で、主に寝ている間に装着してお口周りの筋機能を利用し、受け口の治療を行っていきます。
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)での治療は始めるのが早いほど改善までの期間も短く、後戻りもしにくくなるため、早い段階で治療を始めるのがおすすめです。ムーシールドによる治療は成長期を過ぎてしまってからでは難しくなります。
機能訓練矯正装置(EFライン)
機能訓練矯正装置(EFライン)とは口腔機能改善トレーナーで、プレ矯正用のマウスピースのことです。
お口周りの筋肉の働きを利用して正常な発育を促し、歯列改善を図ります。歯並びを悪くしてしまったり、歯列が正常に発育する妨げになるような癖にも役立ちます。また、小児矯正の保定装置(リテーナー)として使うこともあります。